三浦半島東海岸に位置する、海に面した別荘である。目の前には砂浜が広がり、晴天時には房総半島まで望むことができる。海に直接面した敷地を求めていたクライアントが、ようやく出会えた土地であった。

この敷地の魅力を最大限に活かし、2層吹き抜けのリビングダイニングには海に面する大開口を設けた。
窓越しに広がる海との一体感を大切に、リビングダイニング外のウッドデッキは室内と高さを揃え、内外の連続性と開放感を強調している。
さらに、海とは反対側のキッチン上部には、外の斜面に茂る緑が見えるハイサイドライト（高窓）を設けた。
異なる高さの開口によって視線が斜めに流れ、勾配天井とあいまってのびやかな空間が実現した。

リビングダイニングの南側には、1階に寝室とバスルーム、2階には寝室とフリースペースが配置されている。
1階の寝室はリビングダイニングと同じウッドデッキに、2階の寝室とフリースペースは海に面したバルコニーとつながっている。
十和田石とヒノキで仕上げたバスルームにも海に開かれた窓を設け、屋内のどこからでも海を楽しめる全室オーシャンビューの設計とした。
リビングダイニングの吹き抜けを見下ろすフリースペースは、建具を閉じることでゲストルームとしての利用も可能である。

建物全体に南から北へ下がる片流れ屋根を架け、ガルバリウム鋼板の屋根材をそのまま北側壁面へ連続させることで、ヨットの白い帆を思わせるシンプルな外観にまとめた。